ボトックス注射による顔の麻痺
2011.08.05 Friday
外山です。
今日はボトックス注射によって顔の麻痺が生じてしまった方の症例です。
定期的にいらっしゃっている方から、ボトックス注射という美容施術によって顔の表情筋が麻痺してしまったと相談されました。
ボトックス注射とは、ボツリヌス菌の毒素を薄めたものを注射し、その部位の筋肉を萎縮させてしわをなくしたり、小顔にする美容外科による施術だそうです。
筋肉の神経伝達部でのつながりを遮断することで効果を表すことから、斜頚や筋肉の痙攣などにも使われているようです。
この方は顎の筋肉に注射することで顎を細くする目的で行ったそうで、以前にも2、3回施術を受け、その時は満足いく結果を得られたのだそうですが、今回は目的の筋肉以外の表情筋が麻痺してしまい、口角がまったく上がらず逆に下方に引きつってしまう状態でした。それによって頚や頭、肩の筋肉まで異常に張ってしまい大変つらい様子でした。麻痺自体は半年すれば消えると説明を受けたそうです。
心当たりのある治療法として、このような麻痺に効果がある場合とあまりない場合があるという前提で処置を行った結果、麻痺自体は当然残るものの、即座に口角が上げることが出来るようになり、表情がでるように。まさか麻痺が改善するとは思っていなかったとのことで、顔も頭も大変軽くなったと大変喜んでいらっしゃいました。
それにしても、医師の行うこととはいえ、筋肉を麻痺させてしわを消したり顔を細くするなど、本当に大丈夫なのでしょうか?本来あるべき筋肉を萎縮させることによって何か弊害が生じることはないのでしょうか。私達機能を大切にするカイロプラクターとしては、健康に弊害がないとは思えないのですが・・・。
カイロ神経学のDr.キャリックは脳の生存条件として、「栄養」と「刺激」の2つを上げています。つまり、この2つがなければ私達の脳は正しく働くことが出来ないのです。「栄養」とは酸素や栄養素、「刺激」は脳に入ってくる視覚や聴覚、においなどありとあらゆる刺激です。その刺激の中でも最も重要なのは、筋肉や関節などの重力を受けてその情報を脳に伝える感覚だといいます。視覚は目をつぶれば遮断されますし、聴覚は耳をふさげば遮断されます。しかし、重力を受け止める筋肉や関節の感覚は、宇宙などの無重力空間にでも行かない限り、常に脳に伝わっているのです。そのため、脳にとっては最も重要な刺激の源なのです。
では、この生存条件である刺激が来なくなったら神経はどうなってしまうのでしょうか。答えは簡単です。「細胞死」です。神経は刺激が来なくなると一時的に刺激を求めて過敏な状態になり、やがて、燃え尽きて死んでしまうのです。これをTrans Neural Degeneration(TND)といいますが、顎の筋肉などは中脳など脳幹との連絡が密ですから、なおのこと重要であるはずです。それを人工的に萎縮などさせていいとはとても思えないのです。もちろん直接命に関わることはないにしても、健康を害する可能性は大いにあるように思います。実際この患者さんもボトックス注射の後は異常な肩や頚、頭の張りやこり、湿疹、胃腸の調子を崩したりとかなり体調に影響がでていらっしゃいました。(もちろん、顔の麻痺による精神的ストレスも影響しているかもしれませんが)
後日ボトックスの施術をした医師の診察を受けたところ、通常麻痺は最初の2ヶ月は悪化し、その後の2ヶ月で回復してくるとのことで、注射直後にもかかわらずあまりに患者さんの筋肉が動くので驚かれていたそうです。「ボトックス注射があまり効いていないから(今回はこのような状態になったので行わないが)本来ならもう一度注射をするところだ」とまで言われたそうです・・・。
美容医療を否定するつもりはありませんが、もっと身体に優しい方向での技術の発展を願ってやみません。
腰痛、肩こりから頭痛、生理痛、自律神経の問題などお気軽にご相談ください
南青山カイロプラクティックVOICE OF SPINE
TEL:03-6913-8990
ホームページ:www.voice-of-spine.com
e-mail:info@voice-of-spine.com
携帯用ホームページ:
http://voice-of-spine.com/vosmobile
今日はボトックス注射によって顔の麻痺が生じてしまった方の症例です。
定期的にいらっしゃっている方から、ボトックス注射という美容施術によって顔の表情筋が麻痺してしまったと相談されました。
ボトックス注射とは、ボツリヌス菌の毒素を薄めたものを注射し、その部位の筋肉を萎縮させてしわをなくしたり、小顔にする美容外科による施術だそうです。
筋肉の神経伝達部でのつながりを遮断することで効果を表すことから、斜頚や筋肉の痙攣などにも使われているようです。
この方は顎の筋肉に注射することで顎を細くする目的で行ったそうで、以前にも2、3回施術を受け、その時は満足いく結果を得られたのだそうですが、今回は目的の筋肉以外の表情筋が麻痺してしまい、口角がまったく上がらず逆に下方に引きつってしまう状態でした。それによって頚や頭、肩の筋肉まで異常に張ってしまい大変つらい様子でした。麻痺自体は半年すれば消えると説明を受けたそうです。
心当たりのある治療法として、このような麻痺に効果がある場合とあまりない場合があるという前提で処置を行った結果、麻痺自体は当然残るものの、即座に口角が上げることが出来るようになり、表情がでるように。まさか麻痺が改善するとは思っていなかったとのことで、顔も頭も大変軽くなったと大変喜んでいらっしゃいました。
それにしても、医師の行うこととはいえ、筋肉を麻痺させてしわを消したり顔を細くするなど、本当に大丈夫なのでしょうか?本来あるべき筋肉を萎縮させることによって何か弊害が生じることはないのでしょうか。私達機能を大切にするカイロプラクターとしては、健康に弊害がないとは思えないのですが・・・。
カイロ神経学のDr.キャリックは脳の生存条件として、「栄養」と「刺激」の2つを上げています。つまり、この2つがなければ私達の脳は正しく働くことが出来ないのです。「栄養」とは酸素や栄養素、「刺激」は脳に入ってくる視覚や聴覚、においなどありとあらゆる刺激です。その刺激の中でも最も重要なのは、筋肉や関節などの重力を受けてその情報を脳に伝える感覚だといいます。視覚は目をつぶれば遮断されますし、聴覚は耳をふさげば遮断されます。しかし、重力を受け止める筋肉や関節の感覚は、宇宙などの無重力空間にでも行かない限り、常に脳に伝わっているのです。そのため、脳にとっては最も重要な刺激の源なのです。
では、この生存条件である刺激が来なくなったら神経はどうなってしまうのでしょうか。答えは簡単です。「細胞死」です。神経は刺激が来なくなると一時的に刺激を求めて過敏な状態になり、やがて、燃え尽きて死んでしまうのです。これをTrans Neural Degeneration(TND)といいますが、顎の筋肉などは中脳など脳幹との連絡が密ですから、なおのこと重要であるはずです。それを人工的に萎縮などさせていいとはとても思えないのです。もちろん直接命に関わることはないにしても、健康を害する可能性は大いにあるように思います。実際この患者さんもボトックス注射の後は異常な肩や頚、頭の張りやこり、湿疹、胃腸の調子を崩したりとかなり体調に影響がでていらっしゃいました。(もちろん、顔の麻痺による精神的ストレスも影響しているかもしれませんが)
後日ボトックスの施術をした医師の診察を受けたところ、通常麻痺は最初の2ヶ月は悪化し、その後の2ヶ月で回復してくるとのことで、注射直後にもかかわらずあまりに患者さんの筋肉が動くので驚かれていたそうです。「ボトックス注射があまり効いていないから(今回はこのような状態になったので行わないが)本来ならもう一度注射をするところだ」とまで言われたそうです・・・。
美容医療を否定するつもりはありませんが、もっと身体に優しい方向での技術の発展を願ってやみません。
腰痛、肩こりから頭痛、生理痛、自律神経の問題などお気軽にご相談ください
南青山カイロプラクティックVOICE OF SPINE
TEL:03-6913-8990
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Posted by : 外山誉人 B.App.Sc.,B.C.Sc. ICAK認定アプライドキネシオロジスト | 顎、顔、頭蓋骨の障害 | 17:09 | comments(0) | trackbacks(0)